トラスト通信87号
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社長から今伝えたいこと、「魔」を持っているか否か、    それが創業者の分水嶺                 魅力ある経営者たちに共通したもの――――― 城山三郎(作家)トラストグループの企業理念にもある人間性を高める事へ繫がるように、社長がみなさんに伝えたい言葉等を題材にとりあげております。IRとは?IRとは? トラストホールディングスの組織の中にIR室があります。IR(アイアール)とは、インベスター・リレーションズの頭文字で“投資家向けの広報活動”と訳されることが多いようです。全米IR協会のIR活動の定義では、“企業の財務機能とコミュニケーション機能とを統合して行われる「戦略的かつ全社的なマーケティング活動」であり、投資家に対して企業の業績やその将来性に関する正確な姿を提供するものである。”とされています。分かりやすく一言でいうなら「自社株のマーケティング活動」ということになります。要は、自社株(=トラストホールディングスの株式)の宣伝活動です。このため、決算説明会や会社説明会の開催、機関投資家向けの個別説明、ホームページのIR情報などを通じて、多くの投資家に当社グループを知ってもらい、トラストホールディングスの株式を購入してもらうことを目指しています。城山 日本信販の山田光成さんは断られても断られても百貨店に通い詰めて、とうとう何社かを説得して契約し、日本信販をスタートさせる。口で言ってしまえば簡単です。だが、百貨店と契約するまでには筆舌に尽くし難い苦労があったはずです。いろいろなアイデアを抱く人はたくさんいます。だが、それを創業に持っていき、軌道に乗せられるかどうかの境目はここなんですね。多くはここを乗り越えられず、アイデアは単なるアイデアで終わってしまう。本誌 その境目を乗り越えさせるものはなんですか。城山 「魔」でしょうね。情熱と言ってもいいし狂気と言ってもいい。何かをやるなら「魔」と言われるくらいにやれ、「魔」と言われるくらいに繰り返せ、ということです。渋沢榮一は埼玉の農家から出てきて一橋家に仕える。侍になりたいんですね。ところが、割り当てられたのは勝手番。これでは上の人と話し、認めてもらうチャンスがない。だが、上の人が毎朝乗馬の訓練をする。この時なら話すチャンスがあるということで、渋沢は馬と一緒に走って自分の思いや考えを上の人に話す。毎朝それをやる。すると、あいつは見どころがあるということで、そこから彼の人生は開けていく。渋沢は三つの魔を持っていた。吸収魔、建白魔、結合魔です。学んだもの、見聞きしたものをどんどん吸収し、身につけてやまない。物事を立案し、企画し、それを建白してやまない。普通にやるんじゃない。大いにやるのでもない。とことん徹底して、事が成るまでやめない。そういう「魔」としか言いようのない情熱、狂気。根本にそれがあるかないかが、創業者たり得るか否かの分水嶺でしょう。「一流たちの金言」(致知出版社)より抜粋。2

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