トラスト通信89号
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社長から今伝えたいこと、「無所属の時間」を意識する               日々与えられる時間をどう活かすか――――― 牛尾治朗(ウシオ電機会長)トラストグループの企業理念にもある人間性を高める事へ繫がるように、社長がみなさんに伝えたい言葉等を題材にとりあげております。PERとは?PERとは? 株価の割安感を見る指標として、PER(株価収益率)があります。税引き後の利益を、その会社の発行済株式数(発行済株式総数-自己株式数)で割ると、1株当たりの利益が計算できます。この1株当たり利益に対し、株価が何倍まで買われているかを表したのがPER(Price Earnings Ratio)です。一般に、PERの数値が大きいほど割高で、PERが小さいほど割安と見られます。 例えば、前期の1株当たり利益が20円、現在の株価が400円ならPERは20倍です。来期の1株当たり利益が30円と増益が予想された場合、PERが同じ20倍なら株価は600円の水準まで買える、と判断するわけです。また、同じ業種の平均PERが30 倍で、この会社の現在のPER 20倍は低過ぎると判断されるなら、PER 30倍の水準、つまり株価は600円が適正ということになります。 トラストホールディングスのPERが9.8倍の時、同業であるA社は26.1倍、B社は20.3倍、C社は17.1倍だとすると、トラストホールディングスの株価は割安・・・?五〇歳を過ぎてからは、「無所属の時間」を意識するようになりました。これは作家の城山三郎さんの言葉で、人は会社や団体など、どこの組織にも属さない無所属の時間を持ち、そこでどう生き直すかを自身に問わなければならない。それが人間の大きさをつくるというのです。私自身も、経営以外の時間に、様々な感動、感激、悲しみ、苦しみを味わい、多様で彩りに富んだ体験をすることが、経営にもプラスになることを実感しています。仕事に追われ、自分の時間が持てないと嘆く人はたくさんいますが、実は一人ひとりが毎日、自分の個性をどう生かし、与えられた時間をいかに使うかということを試されているのです。音楽にたとえるなら、楽譜を渡され、自由に演奏してみなさいと言われているようなものなのです。ベートーヴェンの交響曲「運命」は一つですが、小澤征爾が指揮するのと、カラヤン、バーンスタイン、フルトヴェングラーが指揮するのとでは、演奏時間も曲の強弱もまったく違います。自分に与えられた時間をどう生かし、何を創造するかはその人次第。流れる時間は有意義なものにも、無益なものにもなります。一人ひとりが人事を尽くし、豊かな人生を築いていただきたいものです。「一流たちの金言」(致知出版社)より抜粋。PER=株価1株当たり利益2

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